◆パイロットの資格と業務

国土交通省大臣から航空従事者技能証明書の交付を受けた者を航空従事者といいます。

パイロットの資格には、自家用操縦士(Private Pilot)、事業用操縦士(Commercial Pilot)、定期運送用操縦士(Airline Transport Pilot)の3種類があります。

自家用操縦士

  • 航空機に乗り組んで、報酬を受けずに、無償の運航航空機の操縦を行うこと。

事業用操縦士

  • 航空機に乗り組んで次に揚げる行為を行うこと。
  • 自家用操縦士の資格を有する者が行うことができる行為。
  • 報酬を受けて、無償の運航を行う航空機の操縦を行うこと。
  • 航空機使用事業の用に供する航空機の操縦を行うこと。
  • 機長以外の操縦者として航空運送事業の用に供する航空機の操縦を行うこと。
  • 機長として、航空運送事業の用に供する航空機であって、構造上、一人の操縦者で操縦することができるもの(特定の方法又は方式により飛行する場合に限りその操縦のために二人を要する航空機にあっては、当該特定の方法又は方式により飛行する航空機を除く。)の操縦を行うこと。

定期運送用操縦士

  • 航空機に乗り組んで次に揚げる行為を行うこと。
  • 事業用操縦士の資格を有する者が行うことができる行為。
  • 機長として、航空運送事業の用に供する航空機であって、構造上、その操縦のために二人を要するものの操縦を行うこと。
  • 機長として、航空運送事業の用に供する航空機であって、特定の方法又は方式により飛行する場合に限りその操縦のために二人を要するもの(当該特定の方法又は方式により飛行する航空機に限る。)の操縦を行うこと。


◆パイロットの技能証明について

技能証明は、上記の3種類の資格別に行われますが、それに加え「航空機の種類」及び「航空機の等級または型式」による限定もなされます。

航空機の種類

飛行機

回転翼航空機

滑空機

飛行船

航空機の等級

陸上単発機
陸上多発機
水上単発機
水上多発機

陸上単発ピストン機
陸上単発タービン機
陸上多発ピストン機
陸上多発タービン機
水上単発ピストン機
水上単発タービン機
水上多発ピストン機
水上多発タービン機

動力滑空機
上級滑空機
中級滑空機

 飛行機の項の等級に同じ

航空機の型式についての限定は「構造上、その操縦のために2人を要する航空機または運輸大臣が指定する航空機」の場合は、その型式ごとの限定が必要となります。


◆パイロット国家試験(実技)受験資格及び最低飛行経歴

自家用操縦士(飛行機) 17才以上
飛行経歴
総飛行時間40時間以上
イ.10時間以上の単独飛行
ロ.出発地点から270q以上の飛行で、中間において2回以上の生地着陸をするものを含む5時間以上の単独操縦による野外飛行
ハ.夜間における離陸、着陸及び航法の実施を含む20時間以上の同乗教育飛行

自家用操縦士(回転翼航空機)17才以上
飛行経歴
総飛行時間40時間以上
イ.10時間以上の単独飛行
ロ.出発地点から180km以上の飛行で、中間において2回以上の生地着陸をするものを含む5時間以上の単独操縦による野外飛行
ハ.夜間における離陸、着陸及び航法の実施を含む20時間以上の同乗教育飛行
ニ.オートローテイション(フルタッチ)による着陸

事業用操縦士(飛行機)18才以上
飛行経歴
総飛行時間200時間以上
イ.100時間以上の機長としての飛行
ロ.出発地点から540km以上の飛行で、中間において2回以上の生地着陸をするものを含む20時間以上の機長としての野外飛行
ハ.機長としての5回以上の離陸及び着陸を含む5時間以上の夜間の飛行
ニ.10時間以上の計器飛行

事業用操縦士(回転翼航空機)18才以上
飛行経歴
総飛行時間150時間以上
イ.35時間以上の機長としての飛行
ロ.出発地点から300km以上の飛行で、中間において2回以上の生地着陸をするものを含む10時間以上の機長としての野外飛行
ハ.機長としての5回以上の離陸及び着陸を含む5時間以上の夜間の飛行
ニ.10時間以上の計器飛行
ホ.オートローテイション(フルタッチ)による着陸

定期運送用操縦士(飛行機)21才以上
飛行経歴
総飛行時間1500時間以上
イ.100時間以上の野外飛行を含む250時間以上の機長としての飛行
ロ.200時間以上の野外飛行
ハ.100時間以上の夜間の飛行
ニ.75時間以上の計器飛行

定期運送用操縦士(回転翼航空機)21才以上
飛行経歴
総飛行時間1000時間以上
イ.100時間以上の野外飛行を含む250時間以上の機長としての飛行
ロ.200時間以上の野外飛行
ハ.50時間以上の夜間の飛行
ニ.30時間以上の計器飛行

 

◆国家試験について
国家試験は、学科試験実地試験とからなり、学科試験に合格しなければ実地試験は受けられません。(航空留学によるライセンス取得者は学科・実技とも免除のため必要ありません。但し、国内で事業用操縦士以上のパイロットとして操縦業務に従事するためには必要となります。)学科試験は、原則として年3回(3月・8月・11月)実施されています。

試験科目(自家用・事業用)は、航空工学、航空気象、空中航法、航空通信、航空法規の5科目です。3月と8月は千歳、岩沼、東京、名古屋、大阪、福岡、宮崎及び沖縄の全国8ヵ所で実施されており、11月は自家用操縦士、事業用操縦士等の資格についてのみ限定的に実施される臨時試験で、東京と大阪のみで実施されています。試験日、申請期限等は、その都度官報で公示されます。受験を希望する場合は、受験申請書(書類は小野アビエーションにて入手可能)を所轄の航空局に提出して受験票を受けます。学科試験は、科目合格制度が採られていますので必ずしも1度に全科目について合格しなくても、1年以内に行われる試験を通じて、全科目に合格すれば良いことになっています。ただし、最初に受験する時は全科目について受験する必要があります。

実地試験は、航空局の試験官が受験者に対して口頭試問を行なうとともに、実際に航空機に同乗して試験を行います。

◆海外のライセンスは日本でも有効
海外でパイロット免許を取得する人が増えています。海外で取得した免許は日本でも有効であり自分で飛行機やヘリコプターを購入したり、飛行クラブに参加するなどして飛行を楽しんでいる人が沢山います。

国際航空条約(ICAO)に加盟している各国はお互いの免許を認める事で基本的に合意をしているからです。

通常海外で免許を取得する場合はこの条約に参加している国がほとんどですから、この場合日本の免許に書き替える事が出来る訳です。しかし全ての免許が書き替えられるかと言うとそうではありません。現在日本で海外免許を、そのまま書き替えてもらえるのは、自家用免許に限られています。

免許には自家用免許以外に事業用免許、定期運送用免許そして限定事項に計器飛行証明、教育証明、多発限定、(回転翼では)ピストン、タービンなどがあります。海外で事業用免許や教育証明を取得しても日本の免許には書き替え出来ない訳です。ただし海外免許を元に日本の自家用免許に飛行機の多発限定や回転翼のタービン(レシプロ)限定或いは機種限定を付ける事は可能です。

海外で自家用免許を取得して来ても運輸省で日本の免許に書き替えをしようとして認められない場合もあります。これは免許を取得した国と日本とで法規が多少違う場合があるからです。自家用取得までの飛行時間はICAO加盟国で共通ですが、野外飛行の距離、着陸回数、夜間飛行や計器飛行時間などの規定が各国により微妙に違う事があります。日本に帰って書き替えをしようとしたとき日本の法規に定められている規定を満たしていない場合はその分をもう一度飛行しないと海外免許があっても認められない事になってしまいます。

このほかログブックも重要です。良くある例ですが海外留学や駐在の合間に近くの町の飛行クラブなどで免許を取得し帰国した場合、飛行記録が簡易すぎて証明に苦労する事があります。

運輸省航空局が編集して発行しているログブックを持って行き機番、離着陸時間や単独飛行及び単独野外飛行の教官証明、などを正確に記録しておく事が帰国後の書き替えを容易にする事になります。

(参考資料)航空法・航空法施行規則等